45.

絶　唱
1958.10.15

黒白スコープ　108分　
＜スタッフ＞製作：坂上静翁　原作：大江賢次（講談社版）　脚本：八住利雄　監督：滝沢英輔　撮影：横山実　
＜キャスト＞小雪：浅丘ルリ子　園田順吉：小林旭　大谷：安井昌二　橋本美保子：香月美奈子　マサ：高友子　源助：松本克平　為吉：横山運平　吉原：木下雅弘　　他

大地主の息子と山番の娘との愛情を薫り高いヒューマニティで描いた文芸珠玉編。
小林旭さんは古い日本のモラルに対立しながらも純愛に生きる悲恋の大学生を静かな演技で好演した。
新しいメロドラマの誕生は旭さんを大きく飛躍させ、その人気は不動のものとなった。浅丘ルリ子さんとのコンビは新鮮なみずみずしさをもって絶賛された。

招集で戦地に行った順吉と小雪は、午後三時の時間に合わせて、遠い空に向かい山番の木挽き唄を歌った。やがて戦争も終わり、二人だけの時間が持てるはずなのに小雪は病死した。遺骸に花嫁衣装を着せて婚礼の儀式をし、順吉は小雪の遺骸を抱いて山に帰って行く。あたりの山々に順吉が歌う木挽き唄の絶唱が響き渡る。後にこの作品を見て、アクション映画とは違う旭さんの魅力を発見しました。（管理人談）

（後に作られる舟木版「絶唱」＜1966＞とはまた違う、しっとりとした作品です）

45.

完全な遊戯
1958.11.11

黒白スコープ　93分　
＜スタッフ＞製作：高木雅行　原作：石原慎太郎（小説新潮所載）　脚本：白坂依志夫　監督：枡田利雄　撮影：横山実　
＜キャスト＞大木荘二：小林旭　松居京子：芦川いづみ　松居鉄太郎：葉山良二　富田和：岡田真澄　沖津：武藤章生　秋谷：柳瀬志郎　戸田：梅野泰靖　モンシェリのママ：白木マリ　他

“太陽の季節”は太陽族の出発点を描いたものだったが、“完全な遊戯”は太陽族の終点を描いた異色青春ドラマだ。若いエネルギーをもてあまし、空白の時間に生きる青年のゆがんだ像を小林旭さんは見事に演じた。
卒業を間近に控えた大学生が競馬のノミ屋を相手に大儲けを仕掛ける。当時の電話回線の盲点をついたトリックによって、ノミ屋から大枚の金を巻き上げようとしたが果たせず、ノミ屋を主宰するやくざの妹を誘拐し、果てに・・・、妹は自殺を図り、兄は妹の恨みをはらすために復讐の鬼と化す。ようやく自分たちの過ちに気づいた若者達は・・・。旭さんは最後に罪を悔いて警察に自首する。

45.

嵐を呼ぶ友情
1959.1.03

カラーススコープ　95分　
＜スタッフ＞製作：児井英生　脚本：井上梅次（平凡所載）　監督：井上梅次　撮影：高村倉太郎　
＜キャスト＞旗稔：小林旭　川添健二：川地民夫　岡辺公仁夫：沢本忠雄　友岡千秋：浅丘ルリ子　旗孝一郎：宇野重吉　葵マリ子：白木マリ　早苗：広岡三栄子　　他　　

狂熱のトランペットと哀愁のギターを利して男の友情を描いた“嵐を呼ぶ友情”は、全国に爆発的なアキラ・ブームを呼んだ。父を憎みながら父を慕うアキラさんのメロディーは、青春の哀感を高らかにうたいあげた。歌に、恋に、友情に、アキラさんの魅力が十二分に発揮され、この一編で、小林旭さん、沢本忠雄さん、川地民夫さんの日活三悪が結成された。

45.

女を忘れろ
1959.1.29

黒白スコープ　97分　
＜スタッフ＞製作：浅田健三　原作：藤原審爾（小説新潮連載）　脚本：山崎巌、枡田利雄　監督：枡田利雄　撮影：姫田真佐久　
＜キャスト＞田所修：小林旭　三木尚子：浅丘ルリ子　雪枝：南田洋子　吉野：金子信雄　関口：牧真助　大沢：安倍徹　吉川：弘松三郎　バンドマン：柳瀬志郎　他　

“嵐を呼ぶ友情”でアキラ・ブームを巻き起こした小林旭さんは、マイト・ガイの異名を生んだ。“女を忘れろ”はまさにその異名にふさわしいドライタッチの作品。二人の女に激情の恋の想い出を残して異国に去って行く姿は観客の涙を誘うのに充分な演技だった。元ドラマーの役どころは、前作のイメージと同じバンドマン。

45.

群集の中の太陽
1959.3.18

カラースコープ　101分　
＜スタッフ＞製作：児井英生　脚本：井上梅次、池田一朗（平凡所載）　監督：井上梅次　撮影：高村倉太郎
＜キャスト＞尾崎英次：小林旭　榊原洋子：浅丘ルリ子　大野木隆：葉山良二　武井健一：小高雄二　南洋一郎：沢本忠雄　尾崎和子：白木マリ　榊原雪江：清水まゆみ（新人）　権堂：金子信雄　他　　

大学を巣立って社会の荒波に生きる四人の青年の誇り高き友情と闘魂をうたいあげた青春編。小林旭さんは、新聞記者に扮し、新境地を開いた。

尾崎、大野木、武井、南の四人は大学時代、ラグビー部の花形選手として、有名であり、友情においても兄弟以上の親しさで結ばれていた。大学を出ると、尾崎は毎朝新聞記者として入社、大野木はロケット研究所に助手として勤めるようになり、武井は、父の代からの不動産会社の経営にあたり、南は学者志望だったのが、胸の疾患から静養をかねて、故郷の信州に引っ込み、分教場の小学校教師となった。この四人は離ればなれに境遇こそ違え、依然として学生時代の親交を続けた。
尾崎は、その性格の通り切れ味のよい敏腕記者ぶりが早くも注目された。大野木は、学資を出してもらった恩人の娘との結婚話に弱り、ラグビー部の応援で大学のマスコットとして騒がれた料亭の美しい姉妹の姉娘洋子との恋仲について悩んだが、ついに恩人の娘を断った。武井は、亡父の失敗した事業を再興すべく、借金して土地を買ったが、悪番頭のたくらみにひっかかり無一文となり、大阪へ行ったが堕落して、麻薬患者になった。尾崎が麻薬ルートの取材で大阪へ乗り込み・・・。

45.

俺は挑戦する
1959.4.08

黒白スコープ　87分　
＜スタッフ＞製作：児井英生　原案：有高扶桑、国分康一郎（別冊平凡所載）　脚本：柏木和彦、松尾昭典　監督：松尾昭典　撮影：高村倉太郎
＜キャスト＞須貝慎一：小林旭　高見由紀：浅丘ルリ子　織井哲也：小高雄二　蓉子：白木マリ　ジミー：岡田真澄　布施泰司：安部徹　須貝芳江：高野由美　他　

学生プロボクサーが主人公のアクションドラマ。チャンピオンの栄光を賭けた男の誓いと激情を中心に、恋に、歌に、ダイナマイト・パンチを叩きつけたアキラさんは、まさに百万ドルの魅力そのものだった。

45.

二連銃の鉄
1959.4.22

黒白スコープ　85分　
＜スタッフ＞製作：茂木了次、児井英生　原作：川内康範　脚本：川内康範、中西隆三　監督：阿部豊　撮影：岩佐一泉　
＜キャスト＞鉄太郎：小林旭　美也子、ヨシ子：南田洋子（二役）　五郎：沢本忠雄　文枝：掘恭子　健次：岡田真澄　青柳船長：安部徹　犬養船長：二本柳寛　　他　

ある港町にやってきた“二連銃の鉄”は、「花村」というあいまい屋のマダムを一目見て驚くのだった。
美也子は、かつての恋人だったヨシ子に瓜二つだった。亡き恋人の慕情を胸に秘めた早撃ち二連銃で男の闘魂を爆発させた娯楽海洋アクション篇。密猟船をバックに展開する男対男のドラマは、果てることを知らず、怒りを盛り上げて、凄絶の死闘を繰り広げた。

45.

東京の孤独
1959.5.12

黒白ススコープ　105分　
＜スタッフ＞製作：岩井金男　原作：近藤啓太郎（小説公園所載「好奇な冒険」より）脚本：池田一朗　監督：吉村廉　撮影：峰重義　
＜キャスト＞水原哲夫：小林旭　守山富士子：香月美奈子　高木千鶴子：小園蓉子　水原公平：菅井一郎　松井：牧真介　安井：二谷英明　水原美智子：清水マリ子（新人）　大山：東谷えい子　守山泰子：北林谷栄　水原光枝：小夜福子　他　

サンデー毎日に連載、好評を博した井上友一郎原作の映画化で、プロ野球にとびこんだ二人の新人、東京ディッパーズの新人テストを受けた猿丸（小林旭）と黒柳（宍戸錠）は、新人王と恋を賭けて、男の意地と情熱を描いた青春激情篇。後楽園のマウンドで対決した小林旭と宍戸錠は後の”渡り鳥””流れ者”シリーズを生むきっかけをつくりだした。

45.

若い豹の群れ
1959.6.09

黒白スコープ　84分　
＜スタッフ＞製作：坂上静翁　原作：秋永芳郎（日刊スポーツ連載、竜書房版）脚本：三木克巳　監督：松尾昭典　撮影：高村倉太郎　照明：大西美津男　美術：中村公彦　録音：沼倉範夫　編集：丹治睦夫　音楽：鏑木創　助監督：神代辰
＜キャスト＞白川浩：小林旭　村田進：沢本忠雄　大須賀泰三：待田京介　守屋信司：青山恭二　滝馨子：渡辺美佐子　宮川由布子：稲垣美穂子　木村暁子：丘野美子　村田チエミ：白木マリ　岩崎恒也：内田良平　他　

”俺は挑戦する”で栄光のチャンピオンのタイトルに輝いたマイト・ガイ・アキラがボクサー志望の浩に扮し、チャンピオンの夢に己の一生をかけていたが、暗黒街の非情の掟・暴力のリンチは、ついに浩の視力を奪ってしまった。この非情の青春像を、旭は白熱の演技を行い批評家から絶賛の言葉をうけた。東京を去る姿に、男の哀愁と義姉によせる慕情に泣くアキラの魅力はファンの涙をさそった。

45.

爆薬（ダイナマイト）
に火をつけろ
1959.7.05

黒白スコープ　92分　
＜スタッフ＞製作：大塚和　原案：樽井武　脚本：池田一朗、阿部桂一　監督：吉村廉　撮影：峰重義　
＜キャスト＞水原哲夫：小林旭　守山富士子：香月美奈子　高木千鶴子：小園蓉子　水原公平：菅井一郎　松井：牧真介　安井：二谷英明　水原美智子：清水マリ子（新人）　大山：東谷えい子　守山泰子：北林谷栄　水原光枝：小夜福子　他　

陰謀と暴力が渦巻く京浜沿いの埋立地帯を背景に、熱血の男マイト・ガイを描いたアクションドラマである。第三工区の工事権をねらう加納産業を相手に中西組の若い組長に扮した小林旭は、正義の怒りを爆発させた。ダイナマイトを思わせる若者の怒りと行動は、観客の魂を打ち、旭はダイナマイト・ガイの呼び名をうけるという白熱の一大雄篇であった。