小林旭さん初期出演映画リスト
     デビュー
"飢える魂"から"爆薬に火をつけろ"まで26本 PART1 PART2 PART3

私は、『口笛が流れる港町』を子供の頃に見て以来、すっかりアキラさんの映画と歌の虜になってしまいました。だから、基本的
には、それ以前の作品は見たこともなく、見ようともしませんでした。しかし、最近になって初期出演作品のリバイバル上映の機
会に巡りあったり、ビデオをみつけることができ、感銘を受けるとともに再認識する機会がありました。全てを見たわけではあり
ません。ほとんどが雑誌からの引用です。
2002年2月7日放送の「徹子の部屋」でゲスト出演された小林旭さんの談話の中で「ニューフェースでデビューした後、3年間は
下積み時代」という話があ
りましたが、これをあてはめると正に、この初期作品の全てが下積み時代の作品です。1956年6月に
日活第三期ニューフェースとして入社された旭さんは、1956年〜1959年までが下積みの時代です。
そして、その年の8月『南国土佐を後にして』9月『銀座旋風児』10月『ギターを持った渡り鳥』となるのです。以降は人気がう
なぎのぼりとなって行きます。

45.

飢える魂
1956.10.31

続・飢える魂
1956.10.31

 

 

 

 

 

黒白スタンダード 79分  続:97分
<スタッフ>製作:坂上静翁 原作:丹羽文雄(日本経済新聞社連載、全国民放30局連続放送劇) 脚本:柳沢類寿、川島雄三 監督:川島雄三 撮影:高村倉太郎
<キャスト>立花烈:三橋達也 芝令子:南田洋子 小河内まゆみ:轟夕起子 下妻雅治:大坂志郎 味岡礼司:金子信雄 芝直吉:小杉勇 味岡道代:高野由美 味岡章子:桑野みゆき 小河内昭:小林旭(新人) 小河内伊勢子:加藤勢津子 泉谷のり子:渡辺美佐子 他

社会的地位のある実業家の若妻とプレイボーイの青年実業家、ふたりの子供をかかえて生きる未亡人と病気の妻を持つ男、二組の愛の行く末を全国各地に転々と舞台を移して描いたメロドラマ。若き人妻と未亡人の幸福を求めてさまよう苦難と喜びの遍歴を描いた“飢える魂”は全国に熱狂的な大好評を博した。アキラさんはこの作品でデビューし、未亡人の母を憎みながらも母によせる限りなき愛情を健康な息吹で好演して、映画界の注目を浴びた。

45.

孤獨の人
1957.1.15

 

 

 

 

 

黒白スタンダード 82分 
<スタッフ>製作:児井英生 原作:藤島泰輔(三笠書房版) 脚本:中沢信 監督:西河克己 撮影:高村倉太郎 
<キャスト>東大寺朋子:月丘夢路 千谷吉彦:津川雅彦 徳大寺侍従:大坂志郎 京極直輔:青山恭二 淳子:芦川いづみ 大夫:坂東好太郎(特出) 栗本主任:沢村國太郎 岩瀬徹:小林旭 皇太子:黒沢光郎 鳥羽頼子:稲垣美穂子(新人) 他

話題の人皇太子(現天皇陛下=皇后との結婚が噂されていた)の生活とそれを取り巻く学生たちの友情を描いた。皇太子殿下の生活と側近学生との暗闘を描いた異色社会派ドラマ。アキラさんは、古いモラルと真正面から対立するバンカラ派学生の役に扮した。全国に皇太子ブームを巻き起こす遠因となった作品

45.

今日のいのち
1957.6.26

 

 

 

 

 

黒白スタンダード 156分 日活製作再開三周年記念映画
<スタッフ>製作:芦田正蔵 原作:由紀しげ子(読売新聞連載、現代社刊) 脚本:沢村勉、田坂具隆 監督:田坂具隆 撮影:伊佐山三郎 
<キャスト>南方理子:北原三枝 鳥羽岳二:津川雅彦 鳥羽沙智子:山根寿子 花屋京四郎:森雅之 岩本岩次郎:石原裕次郎 吉成朝巳:安井昌二 滝川晋平:金子信雄 千谷多江:浅丘ルリ子 慎一郎:小林旭 お園:渡辺美佐子 他  

病院の再建に奔走する理子と、彼女をいちずに慕う年下の男・岳二との恋愛を描いたメロドラマ。『狂った果実』の翌年でもあり、岳二の恋のライバルとして、石原裕次郎さんが出演。アキラさんは貧しい下町の学生を熱演した。

45.

殺したのは誰だ
1957.7.03

 

 

 

 

 

黒白スタンダード 91分 
<スタッフ>製作:浅田健三 脚本:新藤兼人 監督:中平康 撮影:高村倉太郎 
<キャスト>栄吉:菅井一郎 由利江:山根寿子 フランク:殿山泰司 次郎:小林旭 中川:西村晃 河井:青山恭二 克子:渡辺美佐子 道子:筑波久子 紳士:清水将夫 ダンロップ:浜村純 他 

自動車セールスマンの栄吉は老いたせいか、仕事の成績が悪い。そんな時、車を故意にぶつけて保険金を詐取しょうという仲間の誘いを受けたが、弱気な栄吉は断った。栄吉の代わりに決行した男は車の事故で死ぬ。非情なタッチで現代社会の矛盾をえぐる話題作に抜擢されたアキラさんは、無気力な父親に反発を感じ、自堕落な生活を送る学生を激しい意欲で演じた。この作品で批評家の絶賛を浴び、日活の新しいスタアとして頭角を現した。

45.

幕末太陽傳
1957.7.14

 

 

 

 

 

黒白スタンダード 110分 
<スタッフ>製作:山本武 脚本:田中啓一、川島雄三、新藤兼人 監督:川島雄三 撮影:姫田真佐久 
<キャスト>居残り佐平次:フランキー堺 女郎・おそめ:左幸子 女郎・こはる:南田洋子 高杉晋作:石原裕次郎 女中・おひさ:芦川いづみ 千葉の杢兵衛大盡:市村俊之 相模楼主伝兵ヱ:金子信雄 若衆・喜助:岡田真澄 貸本屋金造:小沢昭一 気病みの新公:西村晃 志藤聞多:二谷英明 久坂玄端:小林旭 大和弥八郎:武藤章生 他  

あと五年で明治維新という、文久二年の十一月、品川の遊郭街で、佐平次は仲間を連れてお大尽遊び。ところが、金は一文も持っていない。かくして佐平次は居残りとなって、しばらくそこに腰を落ち着けることとなる。宿には、もう一組の居残り組がいる。高杉晋作を中心とする勤王の志士たちである。佐平次はこの高杉と仲良くなったり、廓の仕事を要領よくこなしたり、恋文の代筆をしたりで、たちまち廓の人気者となり、廓の売れっ子・こはると、おそめも佐平次にまんざらでもない。しかし、佐平次は胸を患っていて、死期も近いことを知っている。ちょんまげ太陽族ともいうべき幕末の乱世に生きる若者の姿を面白ろおかしく描いた傑作。アキラさんは青年武士の姿で登場。唯一の時代劇映画出演。

45.

青春の冒険
1957.9.03

 

 

 

 

 

黒白スタンダード 80分 
<スタッフ>製作:岩井金男 原作:近藤啓太郎(小説公園所載「好奇な冒険」より)脚本:池田一朗 監督:吉村廉 撮影:峰重義 
<キャスト>水原哲夫:小林旭 守山富士子:香月美奈子 高木千鶴子:小園蓉子 水原公平:菅井一郎 松井:牧真介 安井:二谷英明 水原美智子:清水マリ子(新人) 大山:東谷えい子 守山泰子:北林谷栄 水原光枝:小夜福子 他 

性にめざめ、大人の世界に憧れる危険な年令に生きる高校生を、のひのびと好演したアキラさんは、新鮮な日活青春スタアとして観客の共感を呼んだ。裕次郎さんとは対照的な下町のムードを持った新しきスタアの名は、広く映画ファンや批評家の間にクローズアップされた記念すべき作品。

45.

高校四年
1957.10.08

 

 

 

 

 

黒白スタンダード 89分 
<スタッフ>製作:茂木了次 原作:新津勝祐(サン写真新聞連載)脚本:川内康範 監督:森永健次郎 撮影:山崎安一郎 
<キャスト>菅野宏:小林旭 吉村研二:青山恭二 枝村明夫:牧真介 有吉美沙子:中原早苗 由利:南寿美子 他 

高校花形野球選手、経済博士と呼ばれる金の鬼、ベビードールの学生妻、胸を患って入院中の秀才……。
高校生活をまもなく終わろうとするハイティーンの生態を赤裸々に描いた物語。花形高校野球投手に扮した小林旭さんは、友情と闘魂を歌い上げた。四人の夢は澄み切った青空に果てしなく広がって、太陽のように輝き若人の躍動がみず友愛と夢をのびのびと演じ好評だった。

45.

九人の死刑囚
1957.11.12

 

 

 

 

 

黒白スタンダード 96分 
<スタッフ>製作:大塚和 原案:短歌詩集「四人の死刑囚」より 脚本:片岡薫、佐治乾、古川卓巳 監督:古川卓巳 撮影:中尾利太郎 
<キャスト>村岡修死刑囚:小林旭 典子:浅丘ルリ子 吉永美奈子:左幸子 田所弁護士:滝沢修 根本死刑囚:左朴全 バルさん:金子信雄 裁判長:清水将夫  他 

狭い獄舎の中で迫り来る断罪の足音に血も凍り狂うようなサスペンス。恋人の危機を救うため暴力に対決しなければならなかった下町の貧しい青年は死刑囚となった。小林旭さんは、この作品で不幸な若者の生態と心理を見事に浮き出したのだった。その表情には現代の社会になにかを訴える青年像の怒りが秘められていた。アキラさんを知らない映画ファンにも俄然、注目された作品。


『川上哲治物語背番号16』と 勝利者 』への出演もありますが、これらは重要な役でもないので省きました。

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