口笛が流れる港町 あの頃の新聞広告特集

「渡り鳥シリーズ」の決定版となった『口笛が流れる港町』対決というウエスタン映画を意識した構成が当たりシリーズ化を完全なものとした。
『南国土佐を後にして』のギャンブラーが気質(かたぎ)になろうとするが、簡単には行かずに元の世界へ戻って行く迷いのあるキャラクターだったが、やがて元刑事に姿を変えて、『ギターを持った渡り鳥』は、さすらいの旅に出る。自然あふれた北の街とはいえ、地元の観光利権に巻き込まれて行くが、最後に死んだ女の佐渡への墓参り行きを匂わせて船で去る。シリーズ3作目の『渡り鳥いつまた帰る』では、その佐渡へ渡る。
(『ギター…』『渡り鳥いつまた…』『波濤を…』『…北へ帰る』はディティール設定イメージが異なりながら共通)

『口笛が流れる港町』は、タイトルの港町はほぼ登場しないし、ロケーションはウエスタンを意識している。また前後の筋立てとも違い、いきなりライバル対決を匂わせる。勿論、主題歌も独立している。そうしたことから私は、この系譜は後の『赤い夕陽の渡り鳥』『大草原の渡り鳥』『大海原を行く渡り鳥』につながる和製ウエスタンだと思う。

それは兎も角、『口笛が流れる港町』の当時の新聞広告をご覧ください。横には当時の他の映画広告もあるので比較してお楽しみ下さい。これを見ても当時の日活映画の人気が想像出来ます。

新聞広告1

新聞広告2

新聞広告3



★新聞広告は全て「まとけん」さんからの提供です。感謝・合掌

★この大型看板がカッコよかった!

9歳の頃だった。それまでは東映のチャンバラ映画が中心だった子供の心を鷲づかみにしたカッコいい映画が目の前に現れた。田舎の映画館でもお正月は封切りが掛かっていた。
それが『口笛が流れる港町』だ。でっかい看板は斬新にも錠サンの下半身を立体的に切り抜いて、その向こうに銃を構えた小林旭さんが立っていた。(右図参照)

いつも遊んでいた家の近くの映画館は、東映・大映・洋画の3番館だった。だから、ほぼ毎日、遠く離れた映画館に『口笛が流れる港町』の看板やスチールを見に行っていた。そんな折りに旭さんのファンだった兄(8歳上の兄、当時の若者はみんな憧れていた)に連れていかれた。当時の事は憶えていないが妙に主題歌が耳に残っていた。

♪夕焼けよ〜 さみしい顔で みつめるな ひとりあてなく 旅をゆく 

後に知る事になる「渡り鳥シリーズ」の中でこの「口笛が流れる港町」が聴けないのが不思議だった。もちろん子供だし、レコードだって自由にならず、ただ曲を流してくれそうなラジオに耳を傾けたが、それもかなわぬことだった。

遊びもそれ以来、オモチャの銀玉鉄砲を得意気に左腕にゴムバンドで止めて、滝伸次を気取っていた。