匿名記者★座談会2  輝ける明日を目指して!  

 

●初めにお読み下さい●

 前回の座談会の後に行われた座談会と思われます。やはりアキラさんの人気上昇中であり、過去の作品などについても触れられています。

 前回分と併せて、
“渡り鳥とその時代”のページと併せてご覧下さい。時代のニュアンスが把握しやすくなります。

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 さい。

A 社会党みたいだな(笑)

C 池田内閣だ(笑)

B ミーハー族より一寸年代が上の二十代の人にも歌われるというのは、民謡や、戦争中に流行った
  歌をアレンジし直したものだから歌に覚えがあって歌いやすいということだし・・・。

A 歌詞なんかも面白いのがあるね。

B 著作権で引っ掛かって、発売禁止になったのもあるね。

A ロケから帰ってすぐとか、夜間のセットが終わってからとか、歌を吹き込むのも大変だね、忙し
  いから。もっとも担当のプロデューサーが、家へ楽譜を届けておくと、二、三日ヒマを見つけて
  ピアノをポロンポロン叩いて自己流でマスターし、歌い方の練習をしておくそうだね。歌のスタ
  イルは、誰にも教わらないで、自分の思った通りするそうだ。カンがいいから直されないそうだ
  よ。

小林旭の佐々木小次郎が夢

B 日活では四大スタアの顔合わせは絶対にやらないそうだね。

A 江守常務の言を借りれば「ダンピングは絶対にしない!」だってさ(笑)

C オール・スタアもの必ずしもダンピングではないが、東映のオール・スタアものを裕次郎一人で
  クッたから威勢がいいな。

B 裕次郎との共演なんか夢だな。

A 今の段階じゃ無理だろうが、我々としては考えたくなる話だな。

B 裕次郎が警官で、暗黒街に潜入する。小林旭が若い貸元で、いつの間にか二人の間に男の友情が
  生まれ、助け合いながら悪の大ボスをやっつける・・・。

A そううまく話が作れればいいけど・・・(笑)

C こちらで考えるほどうまくゆかないものなんだ。

A 江守さんがこの調子では絶対にやらせないね。

B 夢を見るだけならいいだろう(笑)裕次郎が宮本武蔵で、旭が佐々木小次郎(笑)

C 時代劇は「幕末太陽傳」だけだな。

B 裕次郎も出たね。

C ムシリなんかを自分の毛で作ってね。一寸おもしろかったね。

A ファンとしては、ああいうものをもういっぺん望んでいるんじゃないかな。

B 何千人かのファンが連名で日活江守常務あてに嘆願しないとダメ・・・(笑)  

 


 スーパーマンはスポーツ万能!

C この前、日活の堀社長が「君、小林旭の人気がすごく良くてね、小屋(各地の映画館)から、
  もっと作品をふやせ、って云ってきてるんですよ」なんてニコニコしていたけれども、
  たしかに、人気はすごいね、そろそろ日活の男性ナンバーワンになるんじゃない

  
A 裕次郎と肩をならべるくらいに来てるね。地方へ行くと、かえって裕ちゃんより入り(興行収入)
  がいい位。何しろ数が多いからね、去年が13本、今年も14,5本はやるだろう?
  驚いたね、デビューして4年にもならないのにもう40何本だよ、出演作品が・・・。

B 身体がよく持つね。もっともこのところいちょっとおかしいって云ってるけれど・・・。

A 大丈夫だよ、すごい身体しているもの。ちょっとくらい無理したって、どうっていう身体じゃない、
  チョクチョク上半身裸にになっているけれど、鋼鉄みたいな筋肉だよ。
  殺したってしなないさ(笑)

B いくらスーパーマンでも、そうはいかないさ。何か顔色がさえないみたい。

C スポーツで鍛えているからね。一寸数えただけでも、柔道は三段、アメリカン・フットボールは
  高校時代に選手だったし、陸上競技は百メートルに十一秒一の記録を持っているし・・・。

B それはスゴイ、プロ野球へ入ったって、足だけで食えるよ(笑)

C 乗馬はお手のものだし・・・。

A デビュー時代はよくボーリング場へ行っていたりしていたね。

B やらないのはレスリング位?

C ところがレスだってやっていたそうだ。ゴルフはハンデが12か13? とにかくすごいよ。

A 映画界がこう数を沢山作るようになって来ると、演技とか何とかより、体力の問題になって来るな、
  なかなかブッ倒れないのが残るという・・・(笑)

C 芝居だってよくやってるよ、下地があるからね。
  デビューの頃は「人気スタアになるより、お客さんに笑われない芝居をしたいんです」って云って
  いたのを覚えているけど、その時に、さすがは劇団東童に入って演技者も志しただけの事はあると
  思ったよ。 

A ところが志とは反対に人気スタアになっちゃった。

 今のコンビは続けるべきか・・・?

C 流れ者とか渡り鳥のシリーズはよくお客が入るね。ひところのひばりの男装ものとか橋蔵のチャンバラ
  のように安定性が出てきた。毎月アキラのアクションを楽しみにして見に来るお客が増えて来たという
  事だろうね。

A 同じ手ばかり使えないし、苦しいだろうね。

B とは云っても、最近は、地方まわりが多く、カラーで地方色を見せ、雄大な景色を背景にしているから、
  わりにアキが来ないんじゃないかな?

A 動く絵はがきみたいなもんだ(笑) ストーリーが困るな。
  
C 射ちあいシーンにしろ、物語の設定にしろ、考えていることは確かだね。

B それに、アキラ自身の工夫も入っているね。

C そう、宍戸錠と話し合って研究したりね。

B 監督にも色々と意見をいうしね。その点、ハッキリしていてエライと思うんだ。

A コンビは浅丘だけれど、変わった人を持ってこないと、今に困るようになるぜ。

C 若いスタアを時々使っているけれど、日活側としては、これでハッキリ売りだそう、という気はないら
  しいな。という事は、無理をしないでも、浅丘でも充分客は来るし、なじみのコンビで売っているから
  ・・・という意味からだろうがね。

A まあ、今はいいかも知れないよ、しかし、いつかは困るようになると思うんだ。
  裕次郎だって、北原三枝でちょっと困ったところだし・・・。

C 裕次郎と同じスタイルだと、浅丘と結婚する(笑)

B 会社のおエラ方は、裕次郎でこりているのか、一本クギを打ってある。

A 「当分、結婚なんて考えるなよ」とね。
  そして「三十年位シリーズをつづけるんだからな」てな事を云っている(笑)
  三十年も同じネタでガメツクかせごうっていうのかな(笑)
  

 活劇・文芸もの二刀流

B よく考えてみると、デビュー当時から見ると方向がぐるり変わったような気がするな。
  「飢える魂」「孤独の人」「絶唱」あたりでは、あのちょっと淋しげなタイプと柄でメロドラマに
  いいような気がしたんだけれど・・・。

C それは本人だけじゃないんだ。日活という会社自体がアクションの方がもうかるからみんなアクシ
  ョンの方へ向かしちゃっただけなんだ。だから、時期が来ればああいった傾向の作品だってできる
  事はもちろんだ。

A タイプを考えると文芸作向きみたいだったけれど、慣れというのは恐ろしいもので、アクションづ
  いてから、すっかり貫禄がついてタフ・ガイらしく見えるようになったものね。

C また、顔が小さいからやさ型に見えるんだ。その実、六尺に近い、もの凄くでかい。

A 江守さん(日活常務)の所へ「変わったものをやらして下さい」って云いに行ったらしいけど、
  「バカいうな、そんなことは必要だと思ったら俺達が考えるから、お前は云われた通りにやっていろ」
  ってハッパをかけられたらしいけれど。

B 転機が来たら上手く考えてやらないとね。

C 裕次郎は一応転身に成功したといえるしね。その点、江守さんは頭がきれるから心配はないと思うが。

A 大洋ホエールズみたいにタイムリー・ヒットが打てる(笑)

 素顔の魅力は江戸っ子気性

C 生まれも育ちも東京だから、気っぷはいいね。

B 家の環境もいい。遊びに行くと、オヤジさんやオフクロさんも一緒になって話相手になってくれる。

C あけっぴろげの山の手家庭という感じだね。

A 家を建て増ししたんだろ、エライね。

C 弟の面倒を見るね、十五、六なんだ、とってもワンパクなんだけれど、家へ帰るとすぐ「どうだい」
  って云いながら頭をなでる。これが習慣、そして本人は疲れているんだろうけど、弟の話をよく聞いて
  やる。

B 以前に増築してない時は、その弟が二段ベッドの下に寝ているんだ、撮影のために起きる時間になると
  その弟がものすごい勢いで起こす。まるで叩いているみたいなんだ(笑)

C 寝起きの悪さは有名だからね(笑)それに寝付きのいいのもバタンキューだから(笑)

B ようやく起きると、歯ブラシを出してやったり、手ぬぐいをそろえてやったり、どっちが兄貴だかわか
  らない(笑)

C 車は自分でやらないね、運転手がついている。

A ムチャに飛ばすから自分で運転するなといわれたんじゃない(笑)

 そうそう、彼は自動車狂だ。今までに四、五台取り替えたね。それに、モーターボートの免許もあるし
  ね。「どこかへ海外旅行したいだろう?」ってきいたら、「タイかフィリピンにスピード・ウェイがあ
  って、毎年、全国から狂ったファンが乗ってスピード競技をやっているそうだから、それに行きたい」
  なんて云ってたけれど、それほど好きだね。

A 箱根から六本木まで四十二分でふっとばしたなんてレコードを持っているんだろう?
  どう考えたってスピード違反ものだ(笑)

 これを書くとお巡りさんにあらためて調べられるんじゃないかな(笑)

 今更・・・自分で運転していた時は、交通係のお巡りさんと顔なじみになるほどやったもの(笑) 

C 故障したところを直すのも上手らしいね。人の車をとても喜んで直してやってる・・・(笑) 

 洋々たる未来に向かって大いに前進

C 暮れには海外ロケの作品があるね、東南アジアロケの・・・。

A せまい日本であきたらなくなって外へ飛び出した。渡り鳥も国際的になってきた。

C 日活は海外物に意欲的だね。

A 仕掛けは大きいみたいだけれど、航空会社その他のタイアップが多いからそう金はかからないんだよ。
  一般の人が考えるほど・・・・。

B それでお客が余計に入ればいいじゃない。

A 宣伝としては「はるばる海を越えて長期ロケ敢行」なんてうたえばグッときちゃうしね。

C 仕事の面ではスケールが大きくなったので本人喜んでいるね、それに「外国のゴルフコースを歩ける」
  って喜んでもいるし・・・。

B 西部劇調だし、無国籍映画なんて叩かれるんだから、グッとくだけていいい成果をあげると楽しみだね、
  今後が・・・。

A 小林旭の現在の魅力は、映画にしろ歌にしろ、ドロクササが人を惹くと思うんだ
  しかし、その事と同じに、彼は明るい都会的センスを充分に持っていると思うんだ。
  そこで、今後、シリーズの間をぬって、昭和のぼっちゃんみたいな明るい東京的な喜劇を
  時々やってもらいたいと思うんだ。

C ちょっと前にやった「東京の暴れん坊」

A そうそう、あれでもまだドロクサイ、歌をうまく使って、場面によっては・・・ミュージカルと思わせ
  るような・・・。

B ボクも注文をひとつ。それはラブシーンはあまり感心しないという事。これは日活の方針として守られ
  ているようだけれどね。

A ラブシーンのあるアクションものをラブションと云うのだそうだけれど・・・(笑)
  旭のラブシーンというのは何か考えられないな。

C 今の若い世代のチャンピオンのような彼の事だから、益々今後も活躍して欲しいね。
  それには・・・

B それにはまず身体、これは充分に気を配って・・・・。

A 前はよく夜更かしをしたらしいけれど・・・二十四にもなると考えるようになるんだね。
  今ではマジメ、マジメ!

C 疲労はなるべくその日のうちに回復するようにつとめるべきだね。彼は馬でも格闘でも、吹き替えを
  使わないそうだから、疲労がつもると思わぬ事故を起こすことがある。

A マイト・ガイは決してケガをしない(笑)

 まあ、彼なんか、デリケートでいて逞しい、色々と貴重なセンスを持ったタレントなんだから、
  今後とも大いに頑張ってもらいたいと思うな。

  END

 
       
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