[茶の間の影響・テレビ西部劇] 昭和35年・36年に始まった西部劇番組

テレビ受像機は全世帯の4軒に1台の割合(NHK受信契約数500万超)、映画館入場者人口は最高となり(昭和35年)、横這い状態が数年続く。テレビのカラー放送が開始されたが、カラー受像機は全国で約1200台程度しかなかった。

昭和35年
タイトル
昭和36年
タイトル
1月
第5騎兵隊
3月
西部の対決
3月
モーガン警部(2)
遙かなる西部/西部の男
4月
西部のパラディン
5月
ブロンコ
5月
シャイアン
マーベリック
6月
ララミー牧場
7月
ウェスタン特急
テキサス平原児
胸に輝く星
テキサス決死隊
8月
幌馬車西へ!
7月
ボナンザ/カートライト兄弟
9月
誇り高き男たち
8月
西部の反逆児
保安官ワイアットアープ
11月
幌馬車隊
10月
サーカス西部を行く
ライフルマン

昭和34年から放送の西部劇番組
バット・マスターソン ガンスモーク コルト45 大平原 ローハイド 拳銃無宿など

これらを見ると、ほぼ毎月・毎週のように、テレビでは西部劇が流れていたということです。今で信じられない
でしょうが、そうしたことがあったのです。
「ララミー牧場」は大人気を得て、流れ者で牧場に住み着いた、ジェス役のロバート・フラーが来日して話題と
なりました。また、「ライフルマン」も大人気で子供たちは学校の休憩時間にほうきを片手にライフルのポンプ

アクションのマネをしていました。
「シャイアン」「ブロンコ」も大人気を得て、後に「ブロンコ・シャイアン」のタイトルで同じ時間帯で週替わ
りで交互に放送されました。とにかく、あけてもくれても西部劇の話、ガンマンのカッコよさ、ピストルの話が
尽きなかった時代です。

ララミー牧場★ NET系(現テレビ朝日)木曜 午後8:00〜9:00
1870年頃、開拓時代 ワイオミング州ララミー近郊の牧場を部隊に展開。

父を悪人に殺されて、今はシャーマン牧場の若い主人となったスリムと弟のアンディ、この兄弟をを助ける父の
親友であったウィリー。そしてその家族。ウィリーは駅馬車の駅を運営したり保安官や軍の案内役をしていた。
そこへ、流れ者のジェスがやって来る。暗い陰を持つ彼はシャーマン一家になじめなかったが、アンディ少年の
ひたむきな彼への憧れに同情し、一家にとけこむようになる。こうして様々なエピソードが展開する。

ガン・スモーク FTV系(フジテレビ?)水曜 午後8:00〜8:30
「西部の無法地帯」として歴史に悪名をとどめたダッジ・シティを背景に、二丁拳銃を腰にならず者たちを震え
あがらせる保安官、マット・デュロンが大活躍。アル中気味の保安官助手、酒場のマダムのキティーなどがレギ
ュラー。恋あり、ガンファイトあり、インディアンの襲撃あり・・・多彩な展開。アメリカでは、マットモデル
のおもちゃの二丁拳銃が発売されるや、あっという間に売り切れた。

ローハイド★ NET系(現テレビ朝日)土曜 午後10:00〜11:00
監督であり俳優のクリント・イーストウッドが若い頃に活躍した一編。もちろん「荒野の用心棒」以前の話。
また主題歌も有名で、最近でもTVのCMでも使われていた「ローレン、ローレン・・・」の歌詞が有名。
昔のロードムービーといったものでしょうか? 西部の原野を何千頭もの牛を運ぶカウボーイの活躍を描いた。
テキサスの牧場を出発して、数千キロ離れたカンサス・シティの駅まで、試練や苦難を乗り越えて行く男たち。
画面いっぱいに広がる牛の群に、主題歌がかぶさって毎回胸を熱くしたものです。
(※1961年当時の資料には・・・クリント・イーストウッドなどまったく無名の助演陣が熱演し・・・とあり
 ます。おもしろいですね。)

拳銃無宿★ FTV系(フジテレビ?)土曜 午後7:30〜8:00
懸賞金つきの悪人を追い求めて旅をするジョッシュ・ランドール。手にはウインチェスター92を短く改造した
独特のスタイルの銃を持つ。スティーブ・マックィーンの出世作。この後に『荒野の七人』に抜擢される。

シャイアン★ TBS系  月曜 午後7:00〜8:00
みなし児だったところをシャイアン族に助けられて育った主人公。ネヴァダ州の副保安官として悪人と戦う。
主演はこの作品で絶大な人気を得たクリントン・ウォーカー。『イエロー・ストーン砦』『死の砦』などにも
出演したスター。後に「ブロンコ」が後番組となるが、ファンからの要望で「シャイアン」が戻り「ブロンコ

シャイアン」として一つの番組となる。

その他、紹介しきれないほどの番組があります。

[映画の西部劇]
映画の西部劇も数多く作られましたが、当時の主な作品のみをとりあげます(資料のみが頼りですから、間違い
もあると思います。ご了承下さい)。

*1959年* 
イエローストーン砦 ガンヒルの決斗 グランド・キャニオンの対決 縛り首の木 許されざる者 リオ・ブラボー
ワーロック

*1960年*
アラスカ魂  アラモ 片目のジャック 黒い狼〜ローンウルフの決闘〜  荒野の七人 シマロン バファロー大隊 

*1961年*
決闘 馬上の二人 非情の町

年を追うごとに制作本数は減少していきます。

荒野の七人 
 
監督:ジョン・スタージェス 出演:以下参照


ご存知、黒沢明監督の「七人の侍」の翻案。プロットをそのまま拝借し、舞台をメキシコに移したもの。タイ
トルの冒頭にはちゃんと<トーホームービー『セブン・サムライ』より>とある。黒沢監督も
『駅馬車』を意
識して撮られたとかで、もとは西部劇としてもぴったりだったようです。ともかく原作に忠実にアレンジされ
た作品は大成功を収めました。

ダッジシティなどの悪名高い西部の町も治安が安定するようになり、ガンのみで生きる男たちがあぶれた。
その男達がメキシコの寒村を山賊たちの手から貧しい農民を守ってやるという話。
志村喬役(寡黙なリーダー)=ユル・ブリンナー 宮口精二(ニヒルな剣豪)=ジェームズ・コバーン
稲葉義男
(無口なワザ師)=スティーブ・マックイーン 三船敏郎・木村功(二人分)=ホルスト・ブッフホル
ツ その他に、ロバート・ボーン(「0011 ナポレオン・ソロ」)、チャールズ・ブロンソン(「狼の挽歌」
他)など。

馬上の二人 
 監督:ジョン・フォード 出演:ジェームズ・スチュアート/リチャード・ウィドマーク/リンダ
・クリスタル

 西部劇の神様といわれるJ・フォード監督の異色西部劇。
 テキサス州のタスコサで保安官をやっていたマケーブ(スチュアート)は、昔の友達で今はグラント砦の守
 備隊にいるゲイリー中尉(ウィドマーク)に誘われるまま、コマンチ族の土地に潜入する。何年か前にコマ
 ンチ族に
さらわれた少年と娘を救出にやってきたのだ。しかし、たちまち囚われの身となった二人は、よう
 やくの思いで救出したものの少年と娘は、白人社会になじめなかった。男どうしの友情と二人を慕う二人の
 娘の慕情がからんでドラマは展開する。(公開前邦題=「騎馬の二人」)



片目のジャック
 監督:マーロン・ブランド 出演:M・ブロンド/カール・マルデン/アン・バクスター

 
マーロン・ブランドの初監督作品。
 1880年、3人の脱獄囚仲間と、はるばるメキシコからカリフォルニアまで長い逃走の旅を続けて、ようやく
 目指すモンタレーの町にたどりついたリオ(ブランド)は、かねての計画の銀行強盗を実行する前に町の保
 安官ダッド(
カール・マルデン)を訪ねた。
 この保安官こそ、五年前までリオと共に銀行強盗を繰り返していた相棒だった。かつて、リオを騙して金を
 独り占めした男だったのだ。思いがけぬリオの登場に驚いたダッドだが、妻や娘の手前では平静を装った。
 リオを手厚くもてなすダッドだが、リオの復讐の念は治まらない。彼に好意を寄せる娘のルイザの純潔を奪
 ってしまう。娘を犯されて
ダッドは怒った。そして、リオが喧嘩相手のならず者を殺したのを幸いに、それ
 を理由に逮捕し、拷問で彼の右手をつぶし、町から追放した。
 
右手をつぶされ、得意の銃が使えなくなったリオは、近くの漁村に身を隠し、再び復讐の機会をうかがった。
 そこへ現れたのがルイザだった。純潔を奪われ彼の子供まで宿してしまった、ルイザのひたむきな純愛の言
 葉に、リオの冷たい復讐心も癒えてリオは遂に銃を捨てて平和な幸福が待つ土地へ旅立とうと決意する。
 しかし、脱獄仲間がそれを許すはずもない。口先だけを合わせて彼らは、こっそり町の銀行を襲い、その罪
 を全てリオに押しつけて姿を消した。そんなことは知らずに町にやって来たリオは、たちまち捕まり留置さ
 れる。その彼を脱獄させたのは、ルイザのやさしさだった。幸福の土地をめざして馬を駆る二人。しかし、
 今度はダッドが復讐の鬼と化してリオを追う。追いつ追われつ、遂に二人の決闘となっり、リオの必殺の銃
 弾がダッドを倒した。
 しかし、ダッドは薄れ行く意識の中で、馬に乗って去ろうとするリオとルイザにめがけて銃弾を放った。

 

 ----------- 一瞬の静寂 -----------

 馬上から崩れ落ちたのは、ルイザだった。たった一つの生き甲斐を失ったリオには再び永遠の孤独と地獄が
 たちふさがっていた。

 
 ************* この作品は『黒い傷あとのブルース』のベースとなった作品です
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