二人で演りたいね
旭 ところで、本題本題「用心棒稼業」の時にさ。六ポーズ見せただろ?
錠 あれ、仕掛けたんだよ。でも、一晩考えたよ。
旭 あの撃ち方はいいよ。
錠 はじめはガンは一挺だ。そして、ふいっと二挺になる。
旭 一晩の効果はあったよ。
錠 それから天井に放るところがあったろう? あんとき、脳天に当たりそうになって、ひんやりさ・・・。
旭 当たったら最後、頭がガンガンすらァ。
錠 うわァやられた。・・・アンタのライフルはどうなの?
旭 これがまた、ひと苦労なんだ。ソウテンするとき、レバーをがちっとやるだろ。
左手で銃を持って右手でレバーを動作させる時はいいのさ。
ところが、アンタのガンみたいに、右手でくるっと回しながら、ソウテンするんだ。
このときにね、指をはさんじゃうんだ!
錠 おっかないね。手が豆だらけ?
旭 いやいや、手袋かけてるからなんでもない。でも、なれるまでさ・・・(笑)。
錠 バカだね(笑)
旭 お互い様だ(笑)あのね、錠さん、一度日本で一番早射ちに自信のある人をテストしてみたいね。
錠 おれも考えてたよ。しかし、タイムウォッチじゃ正確さが分からない。
旭 だからさ、ガンの横っちょでもいいし、タイムウォッチなんか、時間を計るものをつけておいてさ。
抜いてダーンとやりさえすれば、ちゃんと秒が出るようなのをさ・・・。
錠 そりゃ、面白いよ・・・なにしろ、おれたちは、そういうタイムウォッチができると一位だよ。
世界ランキングの・・・。
旭 錠さんはピストル、おれはライフルだ。(笑)バカなこと云っちゃったね。
錠 たまにはいいよ。しかし、また二人で演りたいね。
旭 おれもそう思ってんだ。
錠 いちばん印象に残ってんのは、北海道だよ・・・。
旭 洞爺湖のほとりで、馬を駆っとばしたっけね。大体、海を渡っていくと、気分がちがってくるよ。
錠 他国に行ったような気持ちだもの。
旭 よく方々にロケしたね。
錠 そのたびに、明日のガンさばきを研究しようなんて、夜も寝ないでやったっけ。
旭 風呂に入ってまでも、シブキをあげてやったっけね。
錠 なにしろ、楽しかったよ。
旭 今となれば、思い出のひとつだね。
錠 九州の青島ロケの時さ。
旭 「太平洋のかつぎ屋」だった。飛んでる飛行機から降りたんだから・・・。
錠 おれ自身は照れてんだよ。
旭 照れることはないよ。最高ですよ。あんときの、背中から狙われたのが、土ベタに影となって映る。
錠 あの想定はよかった。
旭 その次だよ、よかったのは。さっと転がってダダーンだ。
ああいうところは、錠さんでないと出来ない業だよ。
錠 どうも、どうも。
旭 まったくガンは楽しいもんだね。
錠 こんなに愉快なもんだとは知らなかったよ。
旭 そのうち、また一緒にやらしてくれるだろう。
錠 俺も、そう願ってるよ。
旭 とかくこの世はままならぬか。
錠 うまいこと云うね。(助監督が旭を迎えに来る)
旭 まいどのことで、じゃ。
錠 あとでセットをのぞきに行くよ。
旭 お先-------。