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別冊近代映画12月号(1969)小林旭特別号に「貫き通せ、男の意地を…」のタイトルの記事によると、この年の6月17日に美空ひばりさんとの離婚間近と週刊誌報道があり、同月25日に離婚会見となった。そうした直前に撮影された作品が『生きている狼』である。

その記事の中から当時の状況を拾ってみると…

正直に言って、去年の下半期から今年に入って旭の主演映画はバッタリ入らなくなった。
『無頼無法の徒・さぶ』などは作品的にはかなりよかったものの、入りは芳しくなく、ついで作られた『生きている狼』も、ひどいときには2、300人という最低の入り。何よりの証拠は、前は旭の作品というと必ずカラーだったのに、これらの作品はみんな白黒だった。
「どうせ色をつけて金をかけても入らないのだから、白黒で行こう」と営業部あたりから、あきらめの発言もあったという。
(この後、ギャンブラーシリーズの人気で旭さんは見事に蘇って行く)

しかし、私は『生きている狼』への評価が低いのには納得できない。

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生きている狼 (あらすじ)

大正末期・東京吉原
ひとときの快楽を求める客と、客引き女で賑わう遊郭。
地回りが店をまわり、遊女を仕切っている。そんな中で足抜き騒動が起こる。
遊女の足抜きをさせたのは、関西で「花魁権八(おいらんごんぱ)」の異名をとる謎の人物の仕業。腕っ節が強く男っぷりがいいとの噂で遊女の人気の的だった。足抜きをさせた後で必ず、その遊郭に火を付けるのが特徴。そうした頃に一人の流しが歌いながら通りを流していた。それは口入屋の手で遊郭に売られた妹の早苗を捜す山口明夫(小林旭)の姿だった。
この時代は東北の田舎では貧農が多く、子供の口減らしの為に街の商家などに娘を奉公に出していた。口入れ屋によっては、看板は名ばかりで裏では遊郭へ女を売ったりしていた。新吉原の遊郭を仕切る宮本組の女郎の扱いは酷く、目を被うものがあった。
口入屋“丸徳”の六造や銀次が生娘を宮本に売りつけていた。明夫は、そんな女郎の一人、お信を知ってから、今更に怒りがこみあげてきた。吉原でも「花魁権八(おいらんごんぱ)」が活躍した。おいらんの刺青をして、腕っぷしの強いこの男は、女郎たちの英雄となった。この男こそ、実は流しに扮した明夫だった。まもなく明夫は、神社で妹によく似た、村田組の一人娘千恵に出会った。
彼女の縁で、村田親分は明夫の事情を知り、早苗探しに協力を申し出る。女郎の事情を詳しく知れば、さらに憎悪を感じた明夫は、足抜きを試みては、遊郭を混乱に陥れた。宮本組は“おいらんごん”の出現に手をやいていたが、依然正体はつかめなかった。
その頃、早苗を女郎屋へ売り飛ばした張本人六造、銀次は、わざと火付けをし、“おいらん権パ”の仕業に見せた。
やがて、悪党たちは明夫と早苗の関係を知ると、早苗を地下牢に閉じ込めると共に明夫に刺客を送る。

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■日活 映画データベース 「生きている狼」
LinkIconhttp://www.nikkatsu.com/movie/20799.html


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単なるアクション映画にとどまらない
重い社会テーマを含んでいる。
当時は法律でも容認されていた遊郭、
そこには貧しさから自らの意思ではなく
働かされていた女性もいた。
貧困からの人身売買の悲劇が垣間見られる。

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コンビ対談 小林旭・笹森礼子 (別冊近代映画 「黒いダイスが俺を呼ぶ」特集より)

この号に『生きている狼』で共演の笹森礼子さんとの対談記事があります。その一部を掲載します。


ファンが望む二人の共演

小林 共演は久しぶりだね。

笹森 よろしくお願いいたします。

小林 暴れん坊シリーズで一緒だったこともあるし、
二人とも、結構、共演している筈だが、今度で何本目だろう?

笹森 もう十本は越しているはずよ。

小林 フーン。そんなになるのかな。ボクのところに来るファン・レターには、
よく、笹森クンと共演して欲しい…と言ってくるんだよ。

笹森 私のところにも、旭さんと一緒に…という希望者が多いんです。

小林 共演者が少ないように思われているけれど、十本も撮っていれば、
決して少ないほうじゃない。その上、もっと共演しろ、というのはどういうわけなのかな?

笹森 さあ…。

小林 うん、わかった。二人の取り合わせが異色なんだよ。

笹森 どんなふうに異色なのかしら?

小林 それはね、二人の眼を見ればわかる。

笹森 よくわからないわ。(といいながらクリクリした眼で旭さんをみつめる)

小林 わからないかなあ。笹森クンのその眼だよ。リャンピンの眼…。

笹森 リャンピン?

小林 マージャンにリャンピンというパイがある。
白いパイに二つの丸い印がついている。それをリャンピンというんだ。
クリクリっとして丸いから、笹森クンの眼みたいなんだ。

笹森 とうとうマージャンにされちゃったのね、私…。(笑)

小林 おまけにボクの眼ときたら、笹森クンの眼ときたら、
笹森クンの眼と反対に細い。象みたいな眼といったヤツがある。(笑)

笹森 細い眼と丸い眼との取り合わせが異色だというの?

小林 そいうことになるね。(笑)

笹森 こういう異色作? なら簡単だけど…(笑)

小林 映画のほうは簡単にいかない…(笑)

笹森 そうなのよ。「生きていた狼」(※原文のママ)のとき、二役やったでしょ。

小林 二役は大変だ。

笹森 大正時代の背景だし、ヤクザの娘と大きなリボンを髪につけてふつうの娘の二役で、これには苦労しちゃった。